2025年8月17日日曜日

大学入試、今はこうなっている!共通テストの基本

「大学入試って、まだセンター試験じゃないの?」「最近の入試って、なんだか難しくなった気がするわね…」

お子さんが受験を控えている保護者の方から、そんな声をよく耳にします。実は、2021年の入試から「大学入学共通テスト」が始まり、長年続いた「センター試験」は完全に終了しました。

この共通テストは、単に名称が変わっただけではありません。大学入試そのものが、従来の「知識偏重型」から「思考力・判断力・表現力重視型」へと大きくシフトしているのです。センター試験を経験された皆さまにとっては、この変化が特に気になる点かもしれません。


共通テストとは?センター試験との違いを徹底解説

共通テストは、全国の大学(主に国公立)が共通で利用する試験です。

かつてのセンター試験も「共通の一次試験」という位置づけでしたが、共通テストでは、「考える力」「読解力」「実生活での活用力」がより強く求められます。これは、皆さんが受験された頃とは明確に異なる点と言えるでしょう。

🧠主な変更点は次の3つです。

  • 問題の難易度ではなく「質」が変わった 単なる暗記で解ける問題が減り、複数の資料を読み解き、それらを関連付けて答えを導き出す問題が増えました。 例えば、グラフや表、会話文、複数の文章を組み合わせて読み解くような、より複雑な形式の問題が出題されます。センター試験の「知識を問う」色合いが強かった問題形式とは一線を画しています。

  • 英語はリスニングの比率がアップ センター試験では筆記(リーディング)200点・リスニング50点だった配点が、共通テストではリーディング・リスニングともに100点ずつと、大幅にリスニングの比重が増加しました。 リーディングにおいても、単語や文法の知識だけでなく、「文脈を正確に把握する力」がより重視されます。これは、実際のコミュニケーション能力を測ろうとする意図の表れです。

  • 国語・数学も「実生活に基づいた問題」が増加 長文読解や資料解釈型の問題が目立ち、「与えられた情報を正確に読み取り、そこから判断する力」が問われるようになりました。 例えば、数学では日用品の購入シミュレーションや、交通機関のダイヤに関する問題など、身近な題材を扱った問題が登場します。センター試験の頃に比べ、より「知識をどう使うか」に焦点が当たっているのが特徴です。

  • 解答に必要な「処理速度」がさらに重要に 共通テストは、センター試験に比べて問題文や資料の読み込みに時間がかかる傾向があります。そのため、解答に使える時間が相対的に短くなり、大量の情報を素早く正確に処理する能力が、これまで以上に求められる試験となっています。


共通テストの仕組みと受験方式

共通テストは、基本的に5教科7科目(例:英語・国語・数学・理科・社会)を受験するのがこれまでの主流でした。しかし、2025年度(令和7年度)入試からは、新科目「情報I」が加わり、「6教科8科目」が基本となります。

  • 「情報I」の追加について 皆さんが受験された頃にはなかった新しい教科ですが、現代社会において必須の「情報活用能力」を測る科目として導入されました。 原則として、国公立大学の受験では「情報I」が必須科目となります。私立大学でも、共通テスト利用入試で「情報I」を課す大学が増える見込みです。お子さんの志望校が「情報I」をどう扱うか、早めに確認することが重要です。

実際の受験教科数は、志望する大学・学部によって異なります。この点はセンター試験と同様です。

  • 国公立大学:共通テストの点数に加え、各大学が独自に実施する個別試験(2次試験)の結果も合わせて合否が判定されます。

  • 私立大学:近年、共通テストの点数を利用する「共通テスト利用入試」が増加しています。これまでの私立大学の一般入試といえば、各大学独自の試験を受けるのが一般的でしたが、今は共通テストの点数だけで合否が決まるケースもあれば、共通テストの点数と大学独自の試験を組み合わせて判断されるケースもあります。

つまり、「共通テストだけで合否が決まる」ケースもあれば、「共通テスト+個別の学力試験」で判断されるケースもあります。お子さんの志望校がどの方式を採用しているのかを確認することが重要です。


保護者が知っておきたい、大学入試の全体像

大学入試は、大きく以下の3つの選抜方法に分かれます。皆さんが経験された「一般入試」以外にも、多様な選択肢があることを知っておきましょう。

  • 総合型選抜(旧AO入試) 学力試験だけでなく、これまでの活動実績や志望理由書などを総合的に評価して合否が決まります。出願は秋頃から始まることが多いです。

  • 学校推薦型選抜(指定校・公募) 高校での成績や学校からの推薦に基づいて選考されます。年内に合否が決まるケースが多く、現役生にとっては魅力的な選択肢の一つです。

  • 一般選抜(共通テスト+個別試験) 国公立大学や多くの私立大学がこの方式を採用しており、共通テストと各大学独自の個別試験の合計点で合否を判定します。試験は主に2月~3月に行われます。

このように、共通テストは「一般選抜」の中心的な試験であり、大学進学を考える上で避けては通れない存在です。特に、2025年度からは「情報I」が加わり、受験科目の構成が変わる点に注意が必要です。


まとめ:「情報戦」となった今の大学入試、家庭でできるサポート

「入試=勉強だけ」と思われがちですが、今の大学入試はまさに“情報戦”と言えます。皆さんが受験された頃よりも、選抜方法や出願時期が多様化しているからです。

「どの大学がどんな方式で選考するのか」「共通テストで何点必要なのか」「どの科目を使うのか」——これらを早めに知り、計画的に備えることが、受験を有利に進める上で非常に重要になります。

保護者としては、お子さんの“伴走者”として、以下の点に関わっていくことが大きな力になります。

  • 学校や塾の説明会に参加し、お子さんに必要な情報を届けましょう。 保護者が先行して説明会に参加し、得た情報をお子さんが知りたいタイミングで伝えたり、興味を示したときにさりげなく話したりするのがおすすめです。お子さん自身が「知りたい」と感じたときに、すぐに情報を提供できる準備をしておく、というスタンスが良いでしょう。

  • お子さんと将来の夢や進路について、じっくりと話し合う時間を持つ 「将来どんなことをしたいか」という具体的な職種だけでなく、「どんな力を身につけたいか」「社会でどう活躍したいか」といった漠然としたテーマでも構いません。現代は変化が非常に速く、お子さんが大学を卒業する頃には、今はない新しい仕事が生まれている可能性も大いにあります。お子さん自身が「変化に対応できる力」を育めるよう、広い視野で話し合い、サポートしてあげることが大切です。

共通テストは、単なる名称変更ではありません。これからの時代を生き抜く子どもたちに必要な「思考力・判断力・表現力」を問う試験へと進化しています。さらに、2025年度からは「情報I」が必須となり、知識だけでなく情報活用能力も問われるようになります。

その本質を、ぜひご家庭でも理解し、お子さんと一緒に受験に臨んでください。ご不明な点があれば、相談してください。

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