2025年8月10日日曜日

質問に答えは得意、でも問いは立てられない? 現代中高生の「質問力」の課題

 現代の中高生は、膨大な情報にアクセスし、提示された質問に対しては的確に答える能力に長けているように見えます。しかし、「自分で質問を組み立てる」ことに関しては、苦手意識を持っている生徒が多いのかもしれません。これは一体なぜなのでしょうか。


なぜ「質問を作る」のが苦手なのか?

この傾向には、いくつかの理由が考えられます。

  • 「正解」を求める教育: 私たちの教育システムは、多くの場合、与えられた問題に対して正しい答えを導き出すことを重視します。テストや評価は、基本的に「問いに答える」形式で行われるため、生徒たちは自ら問いを立てる機会が限られています。結果として、「どんな質問が良い質問なのか」という基準や、質問を組み立てるための思考プロセスが育まれにくいのです。

  • 受動的な情報消費: インターネットが普及し、知りたい情報はすぐに検索できる時代です。疑問を感じる前に答えにたどり着いたり、AIに質問を投げればすぐに要約された情報が得られたりするため、深く思考し、疑問を掘り下げて具体的な質問に落とし込むという経験が少なくなっています。

  • コミュニケーション様式の変化: SNSなどでの短いメッセージのやり取りが主流になり、相手に意図を明確に伝えるための論理的な質問を組み立てる機会が減っていることも一因かもしれません。熟考して言葉を選び、相手に問いかけるというプロセスそのものが、日常生活で希薄になっている可能性があります。

「質問力」は未来を切り開く力

しかし、この「自分で質問を作る力」、すなわち質問力は、これからの時代を生き抜く上で非常に重要な能力です。

変化の激しい現代において、目の前の課題を解決するためには、まず「何が問題なのか」を正確に問いを立てる必要があります。新しい価値を創造するためには、「なぜ、今これが求められているのか」「もっと良い方法はないか」といった本質的な問いを立てる探究心が必要です。

質問力は、単に知識を問うだけでなく、問題発見能力、論理的思考力、そして課題解決能力の源泉となるからです。

質問力を育むために

では、どうすれば中高生の質問力を育むことができるでしょうか。

学校では、生徒が自由に疑問を口にし、それを深掘りする時間を設けることが重要です。例えば、グループディスカッションで「このテーマについて、どんな疑問が湧いてくる?」と問いかけたり、探究学習で「何を知りたいか」を自分で設定する機会を増やしたりすることが考えられます。

家庭では、子どもが「なぜ?」と尋ねてきたときに、すぐに答えを与えるのではなく、「どうしてそう思うの?」「他にどんなことが知りたい?」と問い返すことで、子どもの思考を促すことができます。

「問いを立てる」ことは、自らの頭で考え、主体的に学び、そして未来を切り開くための第一歩です。中高生が「答える力」に加え、「問いを立てる力」を身につけることが、これからの社会で活躍するための鍵となるでしょう。

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