2025年10月19日日曜日

歯科衛生学科・口腔保健学科をわかりやすく解説 【宗樹舎大学学部学科紹介 #32】

 1. 導入:学科の概要と社会での役割

歯科衛生学科・口腔保健学科は、口(口腔)の健康を守り、予防・保健指導・診療補助を行うスペシャリスト(主に歯科衛生士)を育てる学科です。

現場では虫歯や歯周病の予防処置、ブラッシング指導、口腔ケア、病院での口腔ケア(周術期・摂食嚥下支援など)、高齢者・障害者支援、学校保健や保健センターでの地域保健活動など、医療・福祉・教育の境界で幅広く活躍します。

大学によっては保健・福祉との連携を重視する「口腔保健学科」「口腔生命福祉学科」などの名称を用い、チーム医療や地域保健を学ぶカリキュラムを備えています。

2. 学べること

基礎分野(座学)

  • 解剖学・生理学(頭頸部の構造や機能)
  • 生化学・病理学の基礎(感染や炎症の理解)
  • 口腔衛生学・予防歯科学(プラークコントロール、フッ化物応用等)

応用分野(臨床知識)

  • 歯周病予防処置(スケーリング等)
  • 歯科診療の補助(歯科医師の指示下での臨床補助)
  • 口腔保健教育・栄養指導・生活指導
  • 高齢者歯科・障害者歯科(摂食・嚥下リハビリ・誤嚥予防)

実習・実験・解析技術

  • 歯科臨床実習(大学病院や提携医療機関での実習)
  • シミュレーション実習(模型・模擬患者での技術練習)
  • 口腔内写真・レントゲンの基礎知識、感染対策・滅菌操作
  • 臨床データの読み解き・基本的な疫学解析

特徴的なプログラムや専門科目の例

  • チーム医療実習:歯科医師・看護師・栄養士等と連携して行う実践型授業
  • 口腔と福祉の統合カリキュラム:歯科衛生士と社会福祉士の資格取得を見据えたプログラム
  • 大学院進学コース:口腔保健学(公衆衛生、摂食嚥下、老年歯科など)の研究に進む道

3. 向いている人の特徴

学問への興味関心

  • 人の体(特に頭や口の構造)や健康、予防医療に興味がある
  • 社会の健康課題(高齢化・地域保健)に関心を持てる

必要な適性

  • 丁寧な手先の器用さ:スケーリングなど細かな作業が多い
  • 対人スキル:患者さんへの説明やケア、チーム内コミュニケーションが重要
  • 論理的思考・観察力:症状の把握やケア計画を立てるときに役立つ
  • 実験・実習への関心:実技を通して学ぶ科目が多いので体験学習を楽しめる

将来への関心と結びつける

「臨床で患者の生活の質を上げたい」「高齢者ケアや地域保健に携わりたい」「研究や教育に進みたい」など、将来やりたいことが見える人は学びにつながりやすいです。

4. 将来の進路

主な就職先(業界・職場)

  • 歯科診療所(クリニック):最も一般的な就職先。予防処置やメインテナンス業務
  • 病院(病院歯科・チーム医療の一員):周術期口腔管理や入院患者の口腔ケア
  • 介護・福祉施設:高齢者施設での口腔ケア、嚥下支援
  • 保健所・学校・企業の健康管理部門:地域・集団での口腔保健推進
  • 歯科関連企業・メーカー:歯科材料や予防製品の開発・営業・教育担当

研究職・大学院進学

大学院で口腔保健学、老年歯科学、摂食嚥下学、公衆衛生学などを研究し、研究・教育職や高度臨床の道へ進むことも可能です。

資格やキャリアパスの例

  • 歯科衛生士(国家資格):養成課程修了後、国家試験合格が必須
  • ダブル資格:社会福祉士・保健師等の追加資格を目指せるカリキュラムも一部大学で提供

5. まとめ(進学時のチェックポイント)

進学を検討するときに見るべきポイントを整理します。

カリキュラム・教育体制

  • 臨床実習の開始学年・実習先(大学病院・地域施設)の確認
  • 取得可能な資格:国家資格の受験資格が取れるか、ダブル資格の有無
  • 特色ある学び:チーム医療、福祉連携、PBL(問題発見解決学習)導入等

環境・サポート体制

  • 教育環境:模擬臨床室、附属病院、少人数教育の有無
  • 就職サポート:病院や地域とのネットワーク(就職先の実績)
  • 国家試験対策:合格率や対策の手厚さ

最後に一言

歯科衛生学科・口腔保健学科は「人の生活の質(QOL)」を支える実践的で社会的意義の高い学問領域です。 医療・福祉分野でのチームワークや実技を通した学びが中心なので、実習での経験が進路選択に直結します。オープンキャンパスで実習室や附属病院見学をして、実際の学びの雰囲気を確かめてください。



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🦷 国公立大学 口腔保健学科・歯科衛生学科一覧(2025年度)

本一覧は、2025年度入試に対応する国公立大学の4年制歯科衛生士養成課程(口腔保健学科等)をまとめたものです。国公立大学の設置数が非常に限られているため、高い競争率が予想されます。

🏫 国公立大学 口腔保健学科・歯科衛生学科 一覧

大学名 学部学科名 偏差値 共通テスト得点率 国立/公立 特色・備考
東京科学大学 歯学部 口腔保健学科
口腔保健衛生学専攻
55 67%~68% 国立 **国公立最高偏差値**。旧東京医科歯科大学。
歯学部 口腔保健学科
口腔保健工学専攻 (歯科技工士)
55 67%~68% 歯科技工士養成も含む。
広島大学 歯学部 口腔健康科学科
口腔保健学専攻
56(後期)
54(前期)
72%(後期)
63%(前期)
国立 中国・四国地方の中核的養成機関。
歯学部 口腔健康科学科
口腔工学専攻 (歯科技工士)
56(後期)
55(前期)
71%(後期)
63%(前期)
歯科技工士養成を含む口腔工学専攻。
新潟大学 歯学部 口腔生命福祉学科 53 61% 国立 **歯科衛生士と社会福祉士のダブルライセンス取得可能**(日本唯一)。
徳島大学 歯学部 口腔保健学科 54(後期)
52(前期)
59%(後期)
57%(前期)
国立 四国地方唯一の国立歯科衛生士養成機関。
九州歯科大学 歯学部 口腔保健学科 59(最高)
52(最低)
- 公立 **唯一の公立大学口腔保健学科**。
埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科
口腔保健科学専攻
- - 公立 総合保健医療大学での多職種連携教育。
千葉県立保健医療大学 健康科学部 歯科衛生学科 - - 公立 首都圏の公立歯科衛生士養成機関。

⭐ 国公立大学 口腔保健学科の優位性

  • 学費が安い:私立大学に比べ、4年間で約240万円と格段に安価です。
  • 高度な教育:全て歯学部(歯科大学)併設のため、歯科医師養成と同じ環境で高度な歯科医学の基礎から応用まで学習できます。
  • 専門性の高さ:**新潟大学**の社会福祉士ダブルライセンスや、**東京科学大学・広島大学**の口腔工学(歯科技工士)併設など、独自の専門性を追求できます。
  • 設置数が限定的:全国にわずか7校(歯学部併設は4校)のみであり、ステータス性が高いです。

⚠️ 注意事項

  • **歯科衛生士養成機関の主流**:歯科衛生士養成機関は全国に約160校ありますが、多くは3年制の専門学校や短期大学です。4年制大学は限られています。
  • **偏差値の幅**:共通テスト得点率は57%~72%の範囲であり、国公立大学全体の合格ラインに匹敵します。
  • **歯科技工士養成**:**東京科学大学**と**広島大学**には、歯科技工士を目指す口腔工学専攻が併設されています。

データ基準: 2025年度入試対応の最新情報


🦷 私立大学 口腔保健学科・歯科衛生学科一覧(4年制・2025年度)

本一覧は、2025年度入試に対応する私立大学の4年制歯科衛生士養成課程を偏差値順にまとめたものです。4年制大学は、高度な専門知識と学士の学位取得が可能です。

🏫 私立大学 4年制 口腔保健学科等 一覧

大学名 学部学科名 偏差値 特色・備考
神戸常盤大学 保健科学部 口腔保健学科 51~46 2025年4月より3学部編成。医療と教育の総合大学。
宝塚医療大学 保健医療学部 口腔保健学科 48 関西圏の私立養成大学。
明海大学 保健医療学部 口腔保健学科 47 **歯学部併設**の強み。関東圏の拠点。
大阪歯科大学 医療保健学部 口腔保健学科 47~45 110年以上の歴史を持つ歯科大学。口腔保健学科は2017年設置。
医療保健学部 口腔工学科 (歯科技工士) 45~48
梅花女子大学 看護保健学部 口腔保健学科
歯科衛生士専攻
45 **女子大学**として歯科衛生士養成に特色。
徳島文理大学 保健福祉学部 口腔保健学科 44 四国の私立養成大学。総合大学の利点を活用。
九州看護福祉大学 看護福祉学部 口腔保健学科 40前後 九州地方の私立養成大学。地域医療への貢献度が高い。
森ノ宮医療大学 医療技術学部 (※歯科衛生士学科は設置なし) 40~50 関西エリアで志願度上位の医療系総合大学。**本学科は設置されていませんが、比較対象として掲載。**

🎓 私立4年制大学で学ぶメリット

  • 学士(歯科衛生学)の学位取得:大学卒業の学歴で、就職や進路で有利に。
  • 多職種連携教育:医療・保健・福祉の幅広い知識とチーム医療の実践力を養成。
  • キャリアアップ:大学院進学の道も開かれ、研究職や教育職の選択肢が生まれる。

学費と選択のポイント

  • **学費概算(4年間)**:国公立は約240万円に対し、私立は**約400万円~600万円**。明海大学は私立の中で比較的安価な設定です。
  • **養成機関全体の主流**:歯科衛生士養成機関は、3年制の専門学校や短期大学が主流であり、4年制大学は全国でわずか**約13校**と少数です。

📈 就職・進路情報

  • 高い就職率:歯科衛生士は人材不足のため、就職率はほぼ100%を維持。
  • 主な就職先:歯科診療所、大学病院、総合病院(歯科口腔外科)、保健所、企業(健康管理部門)。
  • 女性が多い職種:約98%が女性。結婚・出産後の復職率も高い「生涯働ける資格」です。

データ基準: 2025年度入試対応の最新情報

終わりに

高校生のみなさん、進路調べの宿題で「どんな学部・学科があるのか」と最初から把握している人は、意外と少ないのではないでしょうか。世の中のサイトを見ても、知っている人は情報を調べられますが、知らない人は何を調べればいいのか最初はわからない状態になりがちです。そこで、こうした疑問を少しでも解消できるように、今回、塾のブログで紹介することにしました。みなさんの参考になれば幸いです。


学習塾宗樹舎のHPはこちら👉https://soukisya.com/

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