💼 職業の概要
パイロットは、航空機を操縦して人や貨物を安全に目的地まで運ぶ専門職です。民間航空会社で旅客機を飛ばす「民間パイロット」、貨物輸送やチャーター便を担当する「航空運送パイロット」、さらにはヘリコプターや救急・防災飛行を行うパイロットも存在します。
安全運航の責任は非常に大きく、常に正確で冷静な判断が求められる仕事です。
📋 仕事内容
パイロットの業務は多岐にわたります。
飛行前の準備
- 飛行計画の作成・確認(天候・航路・燃料などの計算)
- 機体点検や整備状況の確認
- 乗務前の安全チェック
- 気象情報の確認
- 重量・重心位置の計算
飛行中の業務
- 航空機の操縦と運航管理
- 航空管制との連絡・調整
- 機内アナウンス(機長として)
- 乗客や貨物の安全確保
- 緊急時の対応・判断
飛行後の業務
- フライトログの記録
- 機体の不具合報告
- デブリーフィング(反省会)
🌍 働く場所
パイロットの活躍の場は多様です:
- 国内・国際航空会社(旅客機): JAL、ANA、LCCなど
- 貨物航空会社(貨物輸送): 日本貨物航空、FedExなど
- ヘリコプター会社(救急・報道・防災): 警察、消防、海上保安庁、報道機関
- 民間航空スクールやパイロット養成機関: 教官として
- 自衛隊・海上保安庁: 公務員パイロット
- 一部は独立してチャーター便や観光飛行など
💰 平均年収
パイロットは国内で最も高収入な職業の一つです。
全体平均
令和5年賃金構造基本統計調査によると、パイロット(航空機操縦士)の平均年収は1732万3600円 です。これは全職種の平均年収472.9万円の約3.7倍に相当します。
年代・職位別年収
| 年代・職位 | 年収の目安 | 
|---|---|
| 副操縦士(若手) | 約1,200〜1,450万円 | 
| 副操縦士(ベテラン) | 約1,400〜1,800万円 | 
| 機長(40代〜50代) | 約2,000〜2,600万円 | 
| 機長(定年間際) | 約3,000万円(大手航空会社) | 
企業規模別年収
企業規模1000人以上の会社(大手航空会社)で、平均年収が1926.6万円。100〜999人規模の会社が1200.7万円。10〜99人規模の会社で675.5万円 となっています。
航空会社別年収
- JAL(日本航空): パイロット平均1959万円(2024年)
- ANA(全日空): パイロット平均1934万円(2013年データ)
- スターフライヤー: パイロット平均1417万円(2024年)
ポイント:
- 航空会社や飛行時間、国際線か国内線かによって変動
- 時間給制を採用している会社もあり、飛行時間が長いほど年収が高い傾向
- 国際民間航空機関(ICAO)によると、2030年には全世界で2010年時点の2倍以上のパイロットが必要になると試算されており、ニーズが高まる
🎓 なるための道のり
パイロットになるには、複数のルートがあります。
ルート①:自社養成パイロット(最も一般的)
- 高校卒業後、4年制大学に進学(学部不問)
- 航空会社の自社養成パイロット採用試験に合格
- 倍率は年によって100倍に達することも
- 適性検査、身体検査、面接などがある
 
- 入社後、自社で訓練を受ける
- 自家用操縦士 → 事業用操縦士 → 計器飛行証明 → 定期運送用操縦士
- 型式限定資格の取得
 
- 副操縦士として8〜10年経験
- 機長試験に合格し、機長に昇格(入社から約15年)
ルート②:航空大学校
- 4年制大学に2年以上在学、または短大・専門学校卒業
- 航空大学校の入学試験に合格(24歳以下)
- 令和6年度の倍率は10.8倍(受験者1170人、合格者108人)
 
- 2年間で各種ライセンスを取得
- 自家用操縦士、事業用操縦士、計器飛行証明など
 
- 航空会社に就職
- 副操縦士 → 機長へ
ルート③:私立大学・専門学校のパイロット養成コース
- パイロット養成課程のある大学・専門学校に進学
- 桜美林大学、東海大学、法政大学など
- 学費は高額(年間約200〜300万円+飛行訓練費)
 
- 在学中に自家用操縦士、事業用操縦士、計器飛行証明を取得
- 航空会社に就職
- 副操縦士 → 機長へ
ルート④:フライトスクール・航空留学
訓練費は約1,500万円ほどで、海外や日本での滞在費&生活費を含めると、約2,000万円。1年半ほどで免許取得ができる
必要な資格(段階別)
- 自家用操縦士: 趣味で飛行機を操縦できる
- 事業用操縦士: 副操縦士として働ける(18歳以上、飛行時間200時間以上)
- 計器飛行証明: 悪天候でも飛行できる
- 定期運送用操縦士: 機長として働ける(21歳以上、飛行時間1,500時間以上)
- 型式限定資格: 各機種ごとに必要
- 航空無線通信士: 無線機を操作するために必要
📊 難易度
| 項目 | 難易度 | 説明 | 
|---|---|---|
| 大学受験 | ★★★☆☆ | 航空学科や理系学科での学習が有利 | 
| 自社養成採用試験 | ★★★★★ | 倍率が100倍に達することもある | 
| Gomec航空大学校入試 | ★★★★☆ | 倍率10.8倍の難関 | 
| 資格・試験 | ★★★★★ | 操縦資格は取得が難しく、膨大な訓練と飛行時間が必要 | 
| 身体検査 | ★★★★☆ | 厳格な健康基あり。年2回の定期検査 | 
| 機長への昇格 | ★★★★☆ | 副操縦士として8〜10年、入社から約15年かかる | 
| 総合評価 | ★★★★★ | 高度な技術と訓練、厳格な健康基準が求められる挑戦型の職業 | 
💡 必要なスキル・適性
操縦技術・判断力
- 高度な集中力と冷静な判断力
- 空間認識能力と反射神経
- 緊急時の迅速な対応力
学力・知識
- 数学・物理の基礎知識
- 気象学、航空工学の理解
- 英語力(国際線では必須)
コミュニケーション能力
- クルー(副操縦士、客室乗務員)との連携
- 管制官との円滑なやり取り
- 乗客への適切なアナウンス
体力・健康
- 忍耐力・健康維持能力
- 不規則な勤務に耐える体力
- 長時間のフライトに対応できる集中力
✅ 向いている人・向いていない人
向いている人
- 高度な技術を身につけることに意欲的な人
- プレッシャーの中でも冷静に行動できる人
- 航空や空への興味が強い人
- 責任感が強く、チームで協力できる人
- 継続的な学習と訓練に耐えられる人
向いていないかも
- 長時間の訓練や不規則な勤務が苦手な人
- 高所や閉鎖空間に不安がある人
- ストレス耐性が低い人
- 健康状態に不安がある人
- 英語学習が苦手な人
🌟 将来性
プラス要因
- 世界的なパイロット不足: 2030年には全世界で2010年時点の2倍以上、アジア・太平洋地域に限ると約4.5倍のパイロットが必要になる
- LCCの増加: 格安航空会社の台頭により需要拡大
- 定年延長: 国土交通省はエアラインパイロットの年齢制限を65歳未満から68歳未満に引き上げ
- 高収入の維持: 日本の航空会社のパイロットが中国企業に年収3000〜4000万円を提示され引き抜かれるという事態も実際に起きている
マイナス要因
- 自動操縦技術の発展: ドローンや自動操縦技術の進化
- 厳しい健康基準: 身体検査に不合格となると乗務できなくなる
- 養成コストの高さ: 航空会社が新卒社員を採用して自社で副操縦士まで養成するのに5000万円〜1億円ほどかかる
今後の展望
2030年ごろにベテラン機長らの多くが定年退職を迎えることやLCC(格安航空会社)が増えたことなどが挙げられる。そのため、各航空会社の間で人材の争奪戦が繰り広げられ、パイロット全体の年収も高騰しているので、今後の給与アップも期待できる 。
ただし、長距離国際線や緊急時の有人操縦は依然として必要であり、技術と経験を持つパイロットは、今後も安定した職業として期待されています。
📌 まとめ(ショート版)
| 項目 | 内容 | 
|---|---|
| 職業名 | パイロット(航空機操縦士) | 
| 仕事内容 | 航空機を操縦し、人や貨物を安全に運ぶ専門職 | 
| 平均年収 | 約1,732万円(全職種中トップ) 副操縦士:約1,200〜1,800万円 機長:約2,000〜3,000万円以上 | 
| 進路 | ①自社養成(大学 → 航空会社)、②航空大学校、③私立大学パイロット養成コース、④フライトスクール | 
| 必要な資格 | 自家用操縦士 → 事業用操縦士 → 定期運送用操縦士(+計器飛行証明、型式限定、航空無線通信士) | 
| 機長になるまでの期間 | 入社から約15年 | 
| 難易度(総合) | ★★★★★(5/5) | 
| 向いている人 | 高度な技術習得に意欲的で、プレッシャーに強く、航空に興味がある人 | 
| 将来性 | 世界的なパイロット不足で需要高い。自動操縦技術が発展しても、有人操縦は必要 | 
📚 参考文献・データ出典
本記事は以下の信頼できる情報源を参考に作成しました:
年収・給与に関するデータ
- PILOT専門進学塾「最新データから見るパイロットの年収」
- 大手航空会社55歳〜59歳で平均3004万円 Ishinofudosandesk
- 出典: https://pilotjyuku.jp/blog/615pn/
 
- スタディサプリ進路「パイロットの気になる?年収・給料・収入」
- 令和5年賃金構造基本統計調査による平均年収1732万3600円 Dr-10
- 出典: https://shingakunet.com/bunnya/w0009/x0116/nenshu/
 
- パイロット相談室「パイロット年収いくら?会社別紹介!」
- JAL機長平均推定年収2600万円、副操縦士1450万円 Clius
- 出典: https://airman.or.jp/pilot-annual-income/7961/
 
- パイロット相談室「エアラインパイロット年収コラム別解説」
- 賃金構造基本統計調査の読み方
- 出典: https://airman.or.jp/pilot-annual-income-statistics/8001/
 
- キャリアガーデン「パイロットの年収・給料はいくら?」
- JAL・ANA・自衛隊パイロットの年収調査
- 出典: https://careergarden.jp/pilot/salary/
 
- 就活の未来「パイロットの平均年収・ボーナス事情」
- 年齢別平均年収推移シミュレーション
- 出典: https://shukatsu-mirai.com/archives/77089
 
- ビジネスジャーナル「パイロット年収2千万円、地上職員200万円台…航空業界、年収格差の理由」
- 中国企業が年収3000〜4000万円で引き抜き Method-innovation
- 出典: https://biz-journal.jp/company/post_382594.html
 
- KIRIN「【平均年収2000万円!?】パイロットの給料はいくら?」
- JAL平均1959万円、ANA平均1934万円、スターフライヤー1417万円 Doctor-agent
- 出典: https://note.com/airline_pilot/n/ne6a84cf13de5
 
- 逆引き大学辞典「パイロットの気になる年収や月収は?」
- 令和4年賃金構造基本統計調査による約1600万円
- 出典: https://www.gyakubiki.net/readings/employment/3543/
 
なるための道のり・資格に関するデータ
- スタディサプリ進路「パイロットになるには」
- 副操縦士として8〜10年経験、機長まで15年程度 Gomec
- 令和6年度航空大学校倍率10.8倍 Gomec
- 出典: https://shingakunet.com/bunnya/w0009/x0116/naruniha/
 
- 逆引き大学辞典「パイロット(航空操縦士)になるには?」
- 必要な費用や資格、目指せる大学
- 出典: https://www.gyakubiki.net/readings/employment/2311/
 
- 国土交通省「パイロットになるには」
- パイロットの業務範囲、資格の種類
- 出典: https://www.mlit.go.jp/about/file000041.html
 
- スタディサプリ進路「パイロットの必要な試験と資格は?」
- 自家用・事業用・定期運送用操縦士の違い
- 出典: https://shingakunet.com/bunnya/w0009/x0116/shikaku/
 
- るるぶKids「パイロットになるには?必要な資格やお仕事内容を紹介」
- 子ども向けのわかりやすい解説
- 出典: https://kids.rurubu.jp/article/95998/
 
- Universal Air「パイロットになるには?プロが教える0からパイロットになる5つの方法」
- フライトスクール訓練費約1,500万円、総額約2,000万円 Ishi-yobikou
- 出典: https://universalair.conohawing.com/archives/257
 
- スタディサプリ進路「パイロットになるには | 大学・専門学校」
- 進路選択の詳細解説
- 出典: https://shingakunet.com/bunnya/w0009/x0116/
 
- パイロットになるには!「パイロットが機長となるまでの訓練内容」
- 機長までの訓練の詳細
- 出典: https://www.pilot-manabu.com/steps/post-302
 
- スタンバイplus「パイロットになるにはどうする?」
- 決められたルートや資格、必要な資質
- 出典: https://jp.stanby.com/magazine/entry/2303017
 
- キャリアガーデン「パイロットになるには」
- パイロットになるための道のり
- 出典: https://careergarden.jp/pilot/naruniha/
 
💡 情報の信頼性について
本記事に記載されているデータは、2024年〜2025年時点の最新情報に基づいています。ただし、年収は航空会社・経験年数・飛行時間によって大きく変動します。
より詳細な情報については、以下をご確認ください:
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
- 各航空会社の採用ページ・有価証券報告書
- 国土交通省「パイロット資格」公式サイト
- 航空大学校公式サイト
記事作成日: 2025年10月27日
最終更新日: 2025年10月27日
データ基準日: 2024年〜2025年
学習塾宗樹舎のHPはこちら👉https://soukisya.com/

 
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