2025年10月28日火曜日

💰 税理士 — お金と法律で企業・個人を支える専門家

 税理士は、税金に関する専門家として、個人や企業の税務申告・会計・経営アドバイスを行う仕事です。「お金のことはよくわからない…」という人や会社にとって、なくてはならない存在であり、法律・会計・経営の知識を駆使して社会を支えます。

■ 仕事内容

税理士の主な仕事は、税金の計算や申告を正しく行うことですが、それだけではありません。

税務・会計業務(独占業務)

  • 個人・法人の税務申告: 所得税・法人税・消費税・相続税・贈与税など
  • 税務書類の作成: 申告書、届出書、税務申請書類
  • 税務代理: 税務署への申告代理、税務調査の立ち会い

コンサルティング業務

  • 経理・会計業務のサポート: 帳簿作成、決算書作成
  • 節税アドバイス: 合法的な節税対策の提案
  • 経営コンサルティング: 資金繰り、事業計画、経営改善
  • 相続税・贈与税の相談: 相続対策、事業承継支援

税理士は税務の専門家であると同時に、経営の相談相手としても活躍します。

■ 働く場所

税理士の活躍の場は多様です:

  • 税理士事務所・会計事務所(最も多い)
  • 企業内の税務部門(税務担当社員として)
  • 独立開業(自分の事務所を経営)
  • 公務員(国税局・税務署)
  • 税理士法人(Big4税理士法人など)
  • コンサルティング会社

💰 平均年収

厚生労働省が2025年3月17日に発表した2024年(令和6年)「賃金構造基本統計調査」をもとに推計すると、税理士事務所に勤務する所属(勤務)税理士の平均年収は約856万円です。2023年の平均年収(推計)は約747万円であり、2024年の税理士の年収は前年から+14.6%の大幅な収入増となっています。

勤務形態別年収

勤務形態年収の目安
勤務税理士(新人)約400〜500万円
勤務税理士(中堅)約500〜800万円
勤務税理士(ベテラン)約700〜1,000万円
Big4税理士法人平均約1,100万円
企業内税務担当約600〜1,200万円
独立開業税理士約800〜3,000万円以上(顧客数による)

年代別年収

年代年収の目安
20代約428〜495万円
30代約700〜800万円
40代約850万円
50代以上約1,000万円以上(独立開業で年収1,500万円超も)

ポイント:

  • 税理士と公認会計士の平均年収は738万円と、一般労働者の平均年収318万円と比べて高い水準 
  • 経験や顧客の規模によって大きく変動
  • 専門職として安定した収入が得られる職業
  • 独立開業で成功すれば高収入も可能だが、営業力や経営力が必要

🎓 なるための道のり

税理士になるには、以下のルートがあります。

1. 大学で会計・経済・法律を学ぶ(必須ではないが有利)

商学部・経営学部・経済学部・法学部などで基礎知識を学ぶ。

2. 受験資格を取得

2023年試験から税理士試験は受験資格が緩和されました 。以下のいずれかの要件を満たす必要があります:

学識による受験資格

  • 大学・短大で法律学または経済学を1科目以上履修
  • 大学3年次以上で62単位以上取得
  • 日商簿記検定1級合格または全経簿記検定上級合格 (会計科目のみ受験可能)

資格による受験資格

  • 日商簿記検定1級合格
  • 全経簿記検定上級合格

職歴による受験資格

  • 会計事務所などで2年以上の実務経験

3. 税理士試験に合格

税理士試験は科目合格制で、5科目合格で税理士登録が可能です。受験者は一度に5科目を受験する必要はなく、1科目ずつ合格を目指すことができます 。

試験科目

会計学に属する科目(必修・2科目):

  • 簿記論
  • 財務諸表論

税法に属する科目(3科目選択):

  • 所得税法または法人税法(いずれか1科目必修)
  • 相続税法
  • 消費税法または酒税法
  • 国税徴収法
  • 住民税または事業税
  • 固定資産税

合格率

2024年(令和6年度・第74回)税理士試験の合格率は16.6%(受験者数34,757人、合格者数5,762人) です。うち5科目合格者(官報合格者)は578人 でした。

科目別合格率(2024年):

  • 相続税法: 18.7%(最高)
  • 財務諸表論: 8.0%(最低) 
  • 科目別の平均合格率は13.5% 

必要な勉強時間

各科目の目安:

  • 簿記論: 約450時間
  • 財務諸表論: 約450時間
  • 所得税法: 約600時間
  • 法人税法: 約600時間
  • 相続税法: 約450時間
  • 消費税法: 約300時間
  • 酒税法: 約150時間
  • 国税徴収法: 約150時間

合計: 約2,500〜4,000時間(選択科目による)

4. 実務経験を積む(2年以上)

税理士試験合格後も、税理士事務所や企業で2年以上の実務経験が必要となります。

5. 税理士登録

実務経験を満たしたら、日本税理士会連合会に登録して初めて税理士として活動できます。

📊 難易度(★と☆で表示)

項目難易度説明
大学受験★★☆☆☆法人会計や法律に興味があれば学びやすい
受験資格取得★★☆☆☆日商簿記1級取得で会計科目は受験可能
税理士試験★★★★★**合格率16.6%**。科目合格制だが合格まで数年かかる
独立開業★★★★☆顧客を集める能力や経営力も必要
総合評価★★★★☆長期の勉強と実務経験が必須。努力型の職業

ポイント:

  • 多くの受験者は1年に1〜3科目を受験し、何年もかけて5科目の合格を目指します 
  • 5科目に合格するまでには、10年以上かかる場合もある 
  • 税理士は、合格率約20%の難関国家資格 

💡 必要なスキル・適性

数字・論理的思考

  • 数字や計算に強い
  • 論理的思考力・分析力
  • 法律・会計・税務に関する知識

コミュニケーション能力

  • 顧客対応・相談業務
  • 税務の専門知識をわかりやすく説明する力
  • 信頼関係を築く力

学習意欲・継続力

  • 忍耐力・継続力(長期間の試験勉強が必要)
  • 最新の税法改正を学び続ける意欲
  • コツコツと努力できる粘り強さ

経営力(独立開業の場合)

  • 営業力・顧客開拓能力
  • 事務所経営のマネジメント力
  • ビジネスセンス

✅ 向いている人・向いていない人

向いている人

  • 数字や法律が得意でコツコツ努力できる人
  • 経営やお金に興味がある人
  • 顧客の問題解決にやりがいを感じる人
  • 長期的な目標に向けて継続できる人
  • 独立開業して自分のビジネスを持ちたい人

向いていないかも

  • 長期の勉強や作業が苦手な人
  • 人と話すのが苦手で顧客対応が苦になる人
  • 数字や法律に全く興味が持てない人
  • 継続的な学習が苦痛な人

🌟 将来性

プラス要因

  • 安定した需要: 個人・企業の税務は常に必要
  • 高齢化社会: 相続税・贈与税の相談需要増加
  • 新しいサービス: 経営コンサルティング、事業承継支援
  • クラウド会計: IT化による業務効率化
  • 国際税務: グローバル企業の税務需要

マイナス要因

  • AI・自動化: 人工知能によるクラウド会計ソフト等の台頭により、税理士の記帳代行業務の市場が大幅に減りつつある 
  • 税理士の増加: 競争の激化
  • 価格競争: 低価格化の圧力

今後の展望

10年後にも税理士という職業は必ずありますし、活躍のフィールドがなくなることはないでしょう。ただし、以下のスキルが重要になります:

  • IT・AIの活用: クラウド会計、自動化ツールの活用
  • コンサルティング能力: 単なる記帳代行ではなく、経営支援
  • 専門分野の確立: 相続税、国際税務、M&Aなど特化分野
  • マーケティング力: 顧客開拓、ブランディング

📌 まとめ(ショート版)

項目内容
職業名**税理士**
仕事内容税務・会計・経営の専門家として個人・企業をサポート
平均年収約856万円(勤務税理士)、独立開業で800〜3,000万円以上
進路大学 → 税理士試験合格(5科目)→ 実務経験(2年)→ 税理士登録
合格率16.6%(2024年)
必要な勉強時間約2,500〜4,000時間
難易度(総合)★★★★☆(4/5)
向いている人数字・法律が得意で、コツコツ努力できる人。長期的な目標に向けて継続できる人
将来性安定した需要。ただしAI・自動化により単純業務は減少。コンサルティング能力が重要


📚 参考文献・データ出典

本記事は以下の信頼できる情報源を参考に作成しました:

年収・給与に関するデータ

  1. 見つかるプロ「税理士の平均年収はいくら?」
  2. 税理士.ch「税理士の年収はいくら?年齢別や企業規模別にくわしく解説」
  3. チェスター相続税理士法人「税理士の平均年収は747万円!」
  4. 税理士の転職日誌「税理士の年収は約884万円!」
  5. 見つかるプロ「税理士は本当に稼げる?年収1000万円以上の高収入税理士になるには」
  6. OpenWork「税理士の年収情報」
  7. STUDYing「税理士の平均年収は?」
  8. 経営革新等支援機関推進協議会「税理士の年収は低くない!」
  9. 会計求人プラス「税理士の平均年収の現実とは?」
  10. キャリアアップステージ「[2024年]税理士の平均年収は835万円」

試験・資格取得に関するデータ

  1. 税理士の転職日誌「2024年(令和6年)税理士試験合格率は16.6%!」
  2. MS-Japan「税理士試験の合格者数・合格率は?」
  3. アガルート「税理士試験の難易度や合格率は?」
  4. 見つかるプロ「令和6年度(第74回)税理士試験合格発表 結果速報」
  5. マイナビ税理士「2025年度税理士試験の試験日程」
  6. Ur Media「税理士試験2024年合格率13.5%、合格者5,762名」
  7. マイナビ税理士「【令和6年度(2024年度)税理士試験結果速報】合格者数は5,762人!」
  8. KOTORA JOURNAL「税理士試験の合格率16.6%!今年の結果データを深掘り調査」
  9. KaikeiZine「2024年度の税理士・公認会計士試験を総括!」
  10. スタディング「税理士試験の結果一覧」

💡 情報の信頼性について

本記事に記載されているデータは、2024年〜2025年時点の最新情報に基づいています。ただし、年収や合格率などの数値は年度や地域、調査機関によって変動する可能性があります。

より詳細な情報や最新データについては、以下の公式サイトをご確認ください:

  • 国税庁「税理士試験」公式サイト
  • 日本税理士会連合会(日税連)公式サイト
  • 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」

記事作成日: 2025年10月27日
最終更新日: 2025年10月27日
データ基準日: 2024年〜2025年


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