💼 職業の概要
小学校教員は、6歳から12歳までの子どもたちに、国語・算数・理科・社会などの基礎的な学力を教える教育の専門家です。単に勉強を教えるだけでなく、生活習慣・社会性・思いやりといった「人としての成長」を支える役割も担います。
学習指導要領に沿って授業を行い、子ども一人ひとりの個性に寄り添いながら、安心して学べる環境をつくることが使命です。
📋 仕事内容
小学校教員の業務は、授業だけではありません。
授業・学習指導
- 各教科の授業計画・教材づくり・指導
- 全教科(国語・算数・理科・社会・音楽・図工・体育・家庭科など)を教える
- 個別指導・補習
学級運営・生活指導
- 生活指導や学級運営(クラス担任業務)
- 児童の安全管理
- 給食指導・清掃指導
- いじめ・トラブル対応
保護者・学校行事対応
- 保護者との面談・連絡帳対応
- 学校行事の運営(運動会・学習発表会・遠足など)
- PTA活動への参加
事務・会議
- 成績評価や通知表の作成
- 教職員会議・研修への参加
- 学習指導案・指導要録の作成
🌍 働く場所
小学校教員の活躍の場:
- 公立小学校(都道府県・市区町村が運営、最も多い)
- 私立小学校
- 国立大学附属小学校
- 特別支援学校(小学校部)
- インターナショナルスクール
- 海外の日本人学校
💰 平均年収
令和4年度学校教員統計調査によると、小学校教員の平均給料月額は32.2万円(平均勤務年数16.2年)で、諸手当月額が約6万円、ボーナスが約180万円であることから年収を計算すると、約640万円です。
年代別年収
年代別の年収は以下の通りです:
| 年代 | 年収の目安 |
|---|---|
| 20代前半(新卒) | 約350万〜380万円 |
| 20代後半 | 約400万〜430万円 |
| 30代前半 | 約450万〜500万円 |
| 30代後半 | 約500万〜550万円 |
| 40代前半 | 約600万〜650万円 |
| 40代後半 | 約650万〜700万円 |
| 50代前半 | 約700万〜750万円 |
| 50代後半 | 約750万〜800万円(ピーク) |
役職別年収
| 役職 | 年収の目安 |
|---|---|
| 一般教諭 | 約400万〜700万円 |
| 主任教諭 | 約650万〜750万円 |
| 教頭 | 約800万〜900万円 |
| 校長 | 約900万〜1,000万円 |
初任給
小・中学校教員の初任給の全国平均は、大学卒で209,570円です。ただし、初任給でも基本給に3〜4万円ほどプラスされる(各種手当込み)ため、実際の手取りは約21万円程度になります。
東京都の教員の初任給は、およそ248,760円(地域手当込み)です。
ポイント:
- 公立小学校教員は地方公務員として安定
- 給与月額の4%が教職調整額として支給されており、どれだけ残業をしても、残業代となる「時間外勤務手当」は支給されない
- 私立小学校は学校により差あり
- 経験年数や役職によって収入は上がり、教頭・校長になると年収800万円を超えることも
🎓 なるための道のり
小学校教員になるには、教員免許状(小学校教諭一種免許状)を取得することが必須です。
1. 大学に進学
以下のいずれかに進学します:
- 教育学部(国立大学・私立大学)
- 教職課程のある学部(文学部・理学部など、副免許として取得可能)
2. 教員免許取得のための単位履修
- 教職科目(教育原理・教育心理学・教育法規など)
- 教科専門科目(国語・算数・理科・社会など)
- 教育実習(小学校で約4週間)
- 介護等体験(社会福祉施設・特別支援学校で7日間)
3. 教員免許状の取得
大学卒業時に、以下のいずれかを取得:
- 小学校教諭一種免許状(4年制大学卒業)
- 小学校教諭二種免許状(短期大学卒業)
- 小学校教諭専修免許状(大学院修了)
4. 教員採用試験に合格
各自治体(都道府県・政令指定都市)が実施する教員採用試験に合格:
試験内容:
- 一次試験: 筆記試験(教職教養・一般教養・専門教養)
- 二次試験: 面接・集団討論・模擬授業・実技試験
合格率・倍率:
- 令和5年度の小学校教諭の採用試験では倍率は2.3倍
- 2024年度は2.2倍で過去最低
- かつては3〜4倍程度だったが、近年は教員不足により急激に低下
5. 正式採用・初任者研修
- 採用後、1年間の条件付き採用期間(試用期間)
- 初任者研修を受講
- 2年目以降、本採用として継続勤務
6. キャリアアップ(希望者)
- 主任教諭(学年主任・教務主任など)
- 教頭・校長
- 専門性を高める(特別支援教育・外国語教育など)
📊 難易度
| 項目 | 難易度 | 説明 |
|---|---|---|
| 大学受験 | ★★★☆☆ | 教育学部・教職課程への進学は中堅〜難関大学まで幅広い |
| 教員免許取得 | ★★★☆☆ | 単位取得・教育実習が必須。留年する学生もいる |
| 教員採用試験 | ★★★☆☆ | 倍率2.2倍(2024年)。かつてより受かりやすくなっている |
| 初任者研修 | ★★★★☆ | 実務と研修の両立が大変。授業準備の時間確保が課題 |
| 独立・開業 | ★☆☆☆☆ | 公立勤務が中心で、個人開業はほぼ不可 |
| 総合評価 | ★★★★☆ | 安定とやりがいがあるが、責任も重い |
💡 必要なスキル・適性
教育スキル
- わかりやすく教える表現力・計画力
- 全教科を教える幅広い知識
- 子どもの発達段階に応じた指導力
コミュニケーション能力
- 子どもと接するコミュニケーション能力
- 保護者との信頼関係構築
- 教職員との協調性
観察力・忍耐力
- 子ども一人ひとりの変化を見逃さない観察力
- 根気強く子どもに向き合う忍耐力
- 感情をコントロールする力
情熱・使命感
- 教育への情熱と使命感
- 子どもの成長を喜べる心
- 継続的な学習意欲
✅ 向いている人・向いていない人
向いている人
- 子どもと過ごすのが好き
- 人の成長を喜べる
- コツコツと努力できる
- 人の話をよく聞ける
- チームで協力して働ける
向いていない人
- 感情的になりやすい
- 臨機応変な対応が苦手
- 長時間労働に耐えられない
- 他人に関心を持てない
- 責任の重い仕事にプレッシャーを感じやすい
🌟 将来性
プラス要因
- 安定した職業: 地方公務員として雇用が安定
- 教員不足: 採用倍率が過去最低の2.2倍で、採用されやすくなっている
- 少人数指導の拡充: 35人学級の導入など、教員の需要増
- ICT教育の推進: 新しい教育手法への対応
マイナス要因
- 少子化: 児童数は減少傾向
- 長時間労働: 残業代が支給されない(教職調整額4%のみ)
- 業務の多様化: 授業以外の業務(保護者対応・事務作業など)の増加
- 教員の負担増: いじめ・発達障害への対応など
今後の展望
少子化で児童数は減少傾向ですが、教育の質向上・少人数指導の拡充などにより、今後も一定の需要があります。
AIやデジタル教材の導入が進んでも、子どもの心を育てる「人間教育」は人にしかできない重要な仕事です。安定した職でありながら、教育改革の最前線に関われるやりがいのある職業です。
📌 まとめ(ショート版)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 職業名 | 小学校教員(小学校の先生) |
| 仕事内容 | 小学生に基礎学力と生活習慣を教える教育者 |
| 平均年収 | 約640万円(経験年数16.2年平均) 初任給:約21万円(大卒、手取り) |
| 進路 | 教育学部または教職課程 → 教員免許取得 → 教員採用試験合格 → 採用 |
| 採用試験倍率 | 2.2倍(2024年、過去最低) |
| 難易度(総合) | ★★★★☆(4/5) |
| 向いている人 | 子どもと過ごすのが好きで、人の成長を喜べる人。コツコツ努力できる人 |
| 将来性 | 安定した職業。教員不足により採用されやすい状況。ただし長時間労働など課題も |
📚 参考文献・データ出典
本記事は以下の信頼できる情報源を参考に作成しました:
年収・給与に関するデータ
- G-Pathバイト「小・中・高校教員の初任給はいくら?」
- 総務省による初任給全国平均209,570円(大学卒) Ishinofudosandesk
- 出典: https://www.gaku-baito.com/column/column000048-html
- Teach For Japan「公立小中学校教員の初任給は?」
- 令和3年度地方公務員給与実態調査結果による初任給209,495円 Dr-10
- 出典: https://teachforjapan.org/journal/9849/
- キャリアガーデン「小学校教師の年収・給料はいくら?」
- 教職調整額4%、残業代は支給されない Clius
- 出典: https://careergarden.jp/shougakkoukyoushi/salary/
- manabu不動産投資「教員の年収は?」
- 小学校教員全体の平均年収625万1,041円 Doctor-agent
- 出典: https://manabu.orixbank.co.jp/archives/343
- 税理士による確定申告「東京都の教員の初任給と手取り」
- 東京都教員初任給248,760円(地域手当込み) Method-innovation
- 出典: https://kyoiku-consul.com/archives/3039
- 資格の学校TAC「教員の年収はいくら?」
- 小学校教員平均給料月額32.2万円、年収約640万円 Doctor-agent
- 出典: https://www.tac-school.co.jp/kouza_kyoin/annual_income_and_salary.html
教員採用試験に関するデータ
- リセマム「教員採用試験の倍率2.3倍」
- 令和5年度小学校教諭の倍率2.3倍 Ishin-kai
- 出典: リセマム記事
- 各種報道「2024年度教員採用試験倍率」
- 2024年度は2.2倍で過去最低 Sundai University
💡 情報の信頼性について
本記事に記載されているデータは、2024年〜2025年時点の最新情報に基づいています。ただし、年収や採用倍率は年度や自治体によって変動する可能性があります。
より詳細な情報については、以下をご確認ください:
- 文部科学省「学校教員統計調査」
- 総務省「地方公務員給与実態調査」
- 各自治体の教育委員会公式サイト
記事作成日: 2025年10月27日
最終更新日: 2025年10月27日
データ基準日: 2024年〜2025年
学習塾宗樹舎のHPはこちら👉https://soukisya.com/

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